【日刊自動車新聞】本日掲載/アセアンプラスコンサルティング代表 川崎大輔
川崎大輔の記事が、本日日刊自動車新聞に掲載されました。
連載「新時代を生きる 川崎大輔のASEAN流通」(4)カンボジア グレーな中古車天国からの脱却
カンボジア国内にある自動車の約90%が中古車で、新車は10%ほどしかない。トリペッチいすゞ(カンボジア)でのヒアリングによれば、2015年のカンボジアの新車販売台数は約6500台。15年のカンボジアへの新車中古車合わせた輸入台数は5万6760台、そのうち9割の5万台が輸入された中古車だ。プノンペン市内には約300店の中古車販売店があり市場は活発だ。現在、カンボジアに入る約8割の中古車がアメリカから輸入されている。
特徴的なのが米国メーカーの車ではなく、左ハンドルの日本メーカー車という点だ。レクサスのRXやLXなどは大人気。しかし、アメリカからの車はほとんど保険会社から買い付けた事故車であるという問題点は放置されたままだ。輸入中古車のうち約40%が全損状態から修復されたものだという。このようにカンボジアは、中古車の規制がないため中古車比率が高い、歪(いびつ)な自動車市場となっている。言い換えればグレーな中古車天国だ。
しかしながら、カンボジアで中古車規制ができた場合、一気に新車需要が増えることが予想できる。カンボジアの新車ディーラーからのヒアリングによれば、何かしらの中古車規制が出る可能性があるという。出るとすれば18年の国民議会選挙が終了した19年あたり。中古車の規制は、透明な市場に向けての第一歩だと思っている。
また、2年以内に新車に安全法規10項目が追加される予定だ。そうなればいずれ中古車にも同じレギュレーションを求められるだろう。中古車市場にとってのマイナスの面もあるかもしれないが、安全性の低い事故車の中古で埋め尽くされた自動車市場からの脱却ができる。より健全な、自動車アフターマーケットを構築するきっかけとなるだろう。
<現在の連載>
◆自動車業界唯一の日刊新聞「日刊自動車新聞」『新時代を生きる川崎大輔のアセアン流通』連載開始
◆自動車業界における最大規模のウェブサイト 「レスポンス」『川崎大輔の流通大陸』連載中
◆整備業界のトップ月刊誌「整備戦略」『川崎大輔がみるアセアンアフターマーケット』連載中