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アセアン(アジア)の人材(整備士)を日本の整備業界に紹介する
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2018年2月25日発行の、業界最大誌「整備戦略」(日刊自動車新聞社発行)に掲載されました。



投稿日 2018年2月25日

2018年2月25日発行の、業界最大誌「整備戦略」(日刊自動車新聞社発行)に掲載されました。今回は、タイの整備市場について、記事を書かせて頂きました。

【川崎大輔がみるアセアンアフターマーケット】高成長が望まれるタイの整備マーケット

2017年のタイの新車販売台数は前年比13.3%増の87万748台。今年も増加傾向で2年連続の増加の見通しが伝えられている。タイの整備ビジネスは将来の有望なマーケットである。自動車市場の拡大と共に大きな伸びが期待できる。

◆品質より価格重視の顧客層

タイで新車を購入したユーザーは、車両保証期間中(通常3~5年)は、購入した新車ディーラーに自分の車を持ち込む。メーカー認定の点検や修理などのメンテナンスサービスを受けるためだ。しかし、車両保証期間が過ぎたあとはコストの安い非認定サービスセンターでメンテナンスを行うケースが多い。

タイの自動車市場は黎明期を迎えたばかりだ。所得の高い層から一般庶民の足へと変化を遂げている最中で、所得の低い層にとって車両購入は大きな買い物だ。維持費などへの出費はできるだけ避ける傾向がある。そのため修理の際に交換部品は純正品よりもコスト重視の人が多い。「メンテナンスにはあまりお金をかけれないよ。今は毎月の新車のローンを返すだけで精いっぱいだ」(タイの40代男性)。

◆整備マーケットの3プレーヤーとは

タイでは新車ディーラー以外にも、メンテナンスサービスを行うプレーヤーがいる。大きくは3つのプレーヤーに分類されている。(1)モダントレーン、(2)トラディッショナル、(3)ディーラーである。

モダントレーンと呼ばれる専門メンテナンス会社はネットワーク化されており、同じブランドで全国展開をしている。複数のモダントレーンブランドが存在し、一番大きなシェアを持つのがブランド名「B-Quik」を展開するB-Quik社だ。タイ全土に100以上の店舗展開している。シェア2位は「ACT」ブランドを展開するブリジストン系のBridgestone A.C.T.(Thailand)社。さらに「コクピット」「オートボーイ」「タイヤプラス(ミシュラン系)」「イーグルストアー(グッドイヤー系)」などが存在する。トラディッショナルは、小規模な家族経営で地元のパパママショップ的な整備・修理工場である。一方、ディーラーは新車ディーラーに併設されている、一般的な整備工場を指す。

「タイではアフターマーケットに関わる正確な統計はないが、利用する顧客の割合はモダントレーンが30%、トラディッショナルが50%、ディーラーが20%くらいだ」(タイ整備会社の経営者)。さらに「最近の傾向ではモターントレーンを利用するユーザーも増えてきている。」と指摘する。確かにバンコクの道路を走る車には、黄色のB-Quik社ステッカーが貼られているのをよく目にする。

◆各プレーヤーのサービス

モダントレーンは、エンジン整備などは行わない。サービス項目を絞り込むことで効率的な運営を確立している。それらに伴う自動車部品、タイヤの小売りを全国ネットワークで行っている。スタッフの教育にも力を入れ、信頼あるブランドの構築を目指している。収益源で最も多いのがタイヤの販売と交換で全体の収益の半分以上をまかなっている。それ以外の主要サービスは、オイル、バッテリー、ショックアブソーバー、ブレーキパッドである。

トラディッショナルでは、一般的な軽整備全般を行っている。タイの街中をタクシーで走ると、道の両脇にこのような小さな修理場を頻繁にみかける。純正部品ではないものを多く扱うため、修理・点検費などは安い。特に中古車を購入するような層はコスト重視で、部品交換なども新品ではなく中古を使いたがる傾向が強い。そのため安価なトラディッショナルはまだ需要があり、メンテナンス市場での重要なプレーヤーとして存在している。

ディーラーは基本的に、エンジンも含めたすべてのサービスを高品質で提供する。ディーラーが行うサービスに大きな信頼を寄せられている。各社メーカーもディーラーへの入庫の仕組みづくりを構築。「ディーラーへの入庫回数を増やすことはアフターセールスの収益力をあげるだけでなく、新車購入のリピート率にも影響を及ぼすことから最重要課題です」(日系自動車メーカー責任者)。しかしメーカー保証期間後は高価なサービスを継続して利用するユーザーが少ない。

◆タイ整備マーケットの展望

タイ整備会社の経営者によると、オイルやバッテリー交換は年1回以上、タイヤ交換2年に1回ほどで行なわれている。雨季などはワイパーの交換も多い。年間の走行距離は日本比べて長いため消耗品などのライフサイクルが短い。「タイでは自動車の月間走行距離を3千キロと見積もっています」(タイの日系リース会社)。

また、ピックアップトラックが多いタイでは、今後も重要な収益源となる。ショックアブソーバーの交換はほとんどがピックアップユーザーだ。通常の1tピックアップでも交換することで6tまでの積載が可能になるからだ。積載量を多くすると当然タイヤも大きなものに変更。またブレーキパッドも変更する回数が多くなる。

排出ガス規制の導入による厳密な車の検査もメンテナンス需要を引き上げていく。タイの整備市場は、自動車規模の拡大に比例して伸びが期待できる、有望なマーケットとなる可能性が高い。

<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年より自らを「日本とアジアの架け橋代行人」と称し、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。専門分野はアジア自動車市場、アジア中古車流通、アジアのアフターマーケット市場、アジアの金融市場で、アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

https://ameblo.jp/kawadai1/entry-12355684436.html

 

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